現代の東京に降臨!惨劇の部屋は殺人者の絵筆で赤く塗り潰されていた。赤に執着する魂に追縋る一方で、合田は死刑囚の父が主宰する禅寺の施錠をめぐって、僧侶たちと不可思議な問答に明け暮れていた。検事や弁護士の描く絵を拒むように、思弁の只中でもがく合田の絵とは?
2015年の記事
11月
「マークスの山」あらすじと感想(※ネタバレを含む)昭和51年南アルプスで播かれた犯罪の種は16年後、東京で連続殺人として開花した ―精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークスが跳ぶ。元組員、高級官僚、そしてまた…。謎の凶器で惨殺される被害者。バラバラの被害者を結ぶ糸は?マークスが握る秘密とは?
ひとりでも多くの人の命を救いたい。そのために山を研究し、私生活を犠牲にして現場に飛び込んでゆく。そのすさまじいまでの救助の実態を、山岳遭勤ルポの第一人者、羽根田治が真実に迫る筆力で紹介する。
1月
あらすじ ~10年前の未解決事件を模倣した連続殺人。立て続けに3人の惨殺体が見つかった。県警捜査一課・澤村は過去に自分が犯した失態により心に大きな傷を抱えていた。トラウマを払拭すべく澤村が捜査に邁進する中、さらに4人目の犠牲が出てしまう。被害者の共通点を洗うと、浮かび上がってきたのは意外な人物だった
天皇と皇室の制度は明治期にどのように「創出」され、どのように展開・変容して、現代にいたったのか。明治憲法と皇室典範を中核とする法体系の成立事情と運用の実態を追い、民間の天皇論や国体論、皇室財産論議、戦後皇室制度の国会審議など、さまざまな興味深い論点を提示していく。気鋭の歴史家が日本近現代史の核心に挑む意欲作。
本書の概要 少年犯罪は悪化しているのか。厳罰主義は本当に有効なのか。本書は、立法の基本理念や運用手続きの実際を解説し、改正問題の論点など少年法の将来を展望するものである。
地方都市・北嶺での誘拐事件は、県警捜査一課の敏腕刑事・上條のミスにより被害者が殺害され、捜査が行き詰まっていた。自らの誇りを取り戻すため捜査に邁進する彼の前に現れた少年。その出会いが彼が封印してきた過去を解き始めた時、事件は意外な姿を見せる…。己の存在意義、組織と個人、親と子。様様に揺れる心情を丹念に描く傑作警察小説。
概要 ~本書は日本の現行裁判制度の問題点を探りつつ、アメリカの陪審裁判の実際と比較し、さらに、かつて日本の陪審法がなぜ定着できなかったのかを、具体的な資料によって跡づけようとするものである。
「ブクログ」から「読書メーター」へ移行してみた。どちらも大変に素晴らしいサービスなのだが、変えることにした理由はページ表示のパフォーマンス一点のみ。それ以外には大変満足の行くサービスなのだが、利用開始ごろと比較すると体感なので曖昧で恐縮であるが、ページを開く時間があまりにも掛かり過ぎると感じるようになった。
主人公の人生に壮絶で過酷さを強いた、すべてへの怒り、それゆえ強く光る幸福のシーンなど、一日に珈琲一杯飲む程度の私の体のどこに、こんな水分あったかと思うほど涙が絶えない作品だった。日本と韓国を隔てる海峡を三度渡った人物を描く大河小説。
本書の概要 1905年、ドイツ人青年「アベグ・ワルデマール」が、1年半かけてアメリカ、日本、朝鮮、中国、インドネシア、インド、スリランカを旅し、撮影した写真を中心に編まれた作品。旅から50年を経て記した旅の回想録、当時の時代背景を交えた文章が添えられた117点の写真による100年前の世界の記録。
本書の概要 「テキストライティングのハック本」、ではない。著者は「文は心である」ことを何度も強調し、多くの名文を紹介しながら生き方、日々の振る舞いを丁寧に語る。明日からの心構えを正してくれる一冊。
2007年11月11日にNHKで放送された「NHKスペシャル - NHK」の取材班による取材記録。政府が進めた金融規制緩和により、投資マネーが膨れ上がり、新規上場を目指すベンチャー企業がいくつも登場する。そこには大量の資金を供給するヤクザと、それを高度な金融知識で運用する元金融マンたちの姿があった。
ブログの主旨から外れるが、表題の一連の事件に関する報道を見ていて多くのことを感じ考えさせられた。未熟さもふくめ現時点でどのように考えたかを記録しておく。
あらすじ 長短が極端に異なる51篇の短篇集。物語は1篇ごとに大きく内容を変え、散文のような日記のようなお伽話ような話の連続は読者を非日常的感覚に引きずり込む。 読書感想 6年も前に、良く読んでいた読書感想ブログに紹介されており、アマゾンのウイッシュリストに登録をした。
戦争、紛争、そしてテロといった武器を用いた争いは止むことなく世界各地で行われている。しかし、そこで使われる銃や兵器は誰が作り、持ち込んだものなのか。アメリカの30兆円にものぼる国防費を背景に、軍需産業は国家と固く結びつきマーケットを世界へと広げている。拡大を続けたアメリカの軍需産業を詳細に分析した一冊。
2月
あらすじ ~最愛のパートナーを交通事故で失った主人公の舞子。二人の思い出がある寺を再訪し、最先端の医療環境を揃えたブラジル、サルバドールの病院へ。そこには世界中から舞子と同じ境遇の女性が希望をもとめ集まっていた。しかし、そこは半世紀越しの忌まわしき陰謀が渦巻く場所であった。
危険地域への渡航は間違いなのか?後藤健二さんがどういう目的で渡航したのかはわからない。ただ、国が渡航を止めたのに行くのは良くないという意見や、渡航禁止を強制できないかといった意見を目にした。
あらすじ ~第3次世界大戦が終わった後、地球は放射能灰に汚染され死の星となり、人間の多くは植民惑星へと移住した。生物は希少で価値が高く、主人公リック・デッカードが持てるのはせいぜい人工的な電気羊ぐらいだ。人間の移住を助けるため、火星に送り込まれたアンドロイドたちは自らを解放し地球へと戻ってきた。
同級生のいじめ、向きあおうとしない学校。俳号「小林凛」、十一歳の少年は俳句を詠む。俳句に希望を見いだし生き抜いた若き俳人と家族の記録。「いじめられ行きたし行けぬ春の雨」表紙に掲載されている一句。出版当時、11歳の小学生。本作は、彼の作品と絵、そして彼の母、祖母による文章をまとめた作品
あらすじ ~大手新聞社「東西新聞」に内定が決まった少女は、二十年前に誘拐事件を起こした犯人の娘だった。『誘拐犯の娘を記者にする大東西の「公正と良識」』二十年間止まっていた時間が、週刊誌のスクープ記事をきっかけに動き出す。今や古い記憶の彼方となった事件の真相をめぐるミステリー作品。
あらすじ 黒船来航により家康から代々続いた徳川江戸幕府は危機へと陥る。激動の時代に十五代将軍となった「徳川慶喜」。家康以来と評された将軍は大きな時代の流れをいかに生きたか。江戸幕府最後の将軍の一生を描いた歴史小説。
表題の一連について感じたことをメモ。サッチャーが首相を勤めていた時代、3年ほど英国で暮らす機会があった。私は「外国人」だった。いいことはたくさんあったが、一方で、残念ながら明確な差別行為を受けることも少なくなかった。「外国人はどこの国でも嫌われる(ことがある)」と感じていた。
あらすじ 著者がこれまで訪れた十二の町を再訪。変わった街、変わらない街。訪ねた先々で過去の記憶をさかのぼり去来する思いを語る旅の記録。「椎名誠」という人物のイメージはどんなものだろう。一時期はテレビ番組やCMにも出演しており知っている人もいると思う。
あらすじ ~時は奈良時代・天平の世。近代国家成立を急ぐ朝廷は、先進国「唐」から多くを吸収するため、総員五百八十余名の第九次「遣唐使」を派遣する。そこには留学僧として渡唐し、20年の年月を経て高僧「鑑真」を日本へと連れ帰る男がいた。航海技術が未熟な時代に海を渡り、異国の地で生きた僧たちを丹念に描く歴史小説。
あらすじ 一切の余分を排し背筋をざわつかせるトリックのみを抽出したミステリ。人々の心のありようを鮮やかにつづった物語。緩と急、動と静が織りなす10編による短篇集。『どこかの街の片隅で』改題。
3月
あらすじ 四万十川が流れる著者の故郷高知県中村を舞台に青春の時を過ごす少年少女を色鮮やかに描いた短篇集。著者のデビュー作となった表題作「魚のように」と「花盗人」を集録。
【※ネタバレを含む】あらすじ 対をなし存在する「2つの集団」。悪と善、陰と陽を象徴するかのような「2つの集団」が、4人の若き男女を介して交差する物語。
【ネタバレを含む】優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話係。生まれ育った施設の親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく
あらすじ ~パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る老紳士の訪問を受け、かつて仙台で机を並べ、その後アメリカ留学中に事故死した親友黒田が実はフランスで自殺したと告げられた。死の謎は真夏のパリから残雪のピレネー、二十数年前の仙台へと遡る。抒情と戦慄のサスペンス。
あらすじ 農場で働く両親の元で生まれ教師となり、妻と娘を家族に持ち、病気で死んでいったある男の一生を語る一作。読み進むに連れ、表紙の臙脂色はかつてストーナーが生まれ育った農場の土と、そしてタイトルの銀色はストーナーの灰色の瞳と重なっていった。本書は隅々までが「ウィリアム・ストーナー」という男の人生に満ちている。
4月
あらすじ 11歳の少年の故国からイギリスへと向かう3週間の船旅。それは彼らの人生を、大きく変えるものだった。仲間たちや個性豊かな同船客との交わり、従姉への淡い 恋心、そして波瀾に満ちた航海の終わりを不穏に彩る謎の事件。映画『イングリッシュ・ペイシェント』原作作家が描き出す、せつなくも美しい冒険譚。
遥かな洋上にいる息子彰之へ届けられた母からの長大な手紙。そこには彼の知らぬ、瑞々しい少女が息づいていた。本郷の下宿屋に生まれ、数奇な縁により青森で三百年続く政と商の家に嫁いだ晴子の人生は、近代日本の歩みそのものであり、彰之の祖父の文弱な純粋さと旧家の淫蕩な血を相剋させながらの生もまた、余人にはない色彩を帯びている。
あらすじ 「牛方節」「斎太郎節」「新相馬節」……。土地に生まれて根づいた唄に、人々はどんな思いを込めてきたのか。時代を経て人々に口ずさまれる中で、唄はどのような変容をとげてきたのか。詩人が、津軽三味線の二代目高橋竹山とともに、東日本大震災の直後に被災地の村々を行脚した稀有な旅の記録。
あらすじ 泥水溜りの中に歪み縮かまった投影は、復員後ふた月の水村宏紀を表象していた。そこには「地獄」を見つめてきた陰鬱な眼がある-。一人の復員兵が彷徨する「魂と虚無」の相克を描く。改造社1949年刊の長篇に字句修正加筆。
その映像は、開けてはならないパンドラの箱だった!?大手放送局に勤務する川原庸次は、かつて学生運動に参加していたという上司からT大時計台闘争にまつわるスクープ映像の存在を聞かされる。初めは半信半疑の庸次だったが、十二年間にわたり地下に潜伏し続ける男、井田と出会い、その存在を確信する。しかし彼の死を境に事態は急変し……。
学生・社会運動の嵐が吹き荒れた一九六九年の五月十三日、超満員となった東大教養学部で、三島由紀夫と全共闘の討論会が開催された!互いの存在理由を巡って、激しく、真摯に議論を闘わせる両者。討論後に緊急出版されるやたちまちベストセラーとなり、いまだ”伝説の討論”として語り継がれる貴重なドキュメント、三十四年ぶりの復活!
5月
本書はさまざまな生き物たちが描かれたソフトカバーによる装丁で、私の手に柔らかな感触を与えてくれた。そしてその内容は生きることの暖かさと神さまたちが遊びに訪れるほどの美しい自然に満ち満ちている。
もう何度目かわからないが再びこの作品を読んだ。人生を生きることは川を渡ること、そんな言葉を耳にしたことがある。しかし、目の前の川の深さがわからないとき、臆病な私はその場に立ちすくむしかなく、人生のもっとも深い底の部分を確かめる行為を促してくれるのが本書であったりする。
石に鳥の絵を描く不思議な男に河原で出会った青年は、微睡むうち鳥と男たちについての六つの夢を見る――絶滅する鳥たち、少年のパチンコ名人と中年男の密猟の冒険、脱獄囚を追っての山中のマンハント、人と鳥と亀との漂流譚、デコイと少年の友情などを。ブラッドベリの『刺青の男』にヒントをえた、ハードボイルドと幻想が交差する異色作品集。
【※ネタバレを含む】あらすじ 91歳の老婦人が、17歳の不良少女に語った、あまりにも数奇な人生の物語。火事による一家の死、孤児としての過酷な少女時代、ようやく見つけた自分の居場所、長いあいだ想いつづけた相手との奇跡的な再会、そしてその結末……。
あらすじ 異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。迫り来る氷の壁、地上に蔓延する略奪と殺戮。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで、世界中に冷たい熱狂を引き起こした伝説的名作。
6月
私たちは、生れ、成長したあと、老いて死んでゆくものだと思っている。けれどDNAは受精の瞬間から、死に向けて時を刻み始めている。産声を上げる10ヶ月も前から、私たちは死に始めているのだ。生命が36億年の時をへて築きあげたこの巧妙な死の機構とはどのようなものなのだろうか?
8月
父と子。その間に立ちはだかる壁はかくも高く険しいものなのか――。近代日本の「終わりの始まり」が露見した永田町と、周回遅れで核がらみの地域振興に手を出した青森。政治一家・福澤王国の内部で起こった造反劇は、雪降りしきる最果ての庵で、父から息子へと静かに、しかし決然と語り出される。
先月から今月にかけて、『息もできない』、『マジック&ロス』、『かぞくのくに』という3本の映画を見た。目的は「ヤン・イクチュン」という韓国の俳優さんである。キッカケは偶然目にした、はてなブックマークでホッテントリに上がっていた『息もできない』という作品だ。
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