7 min read
BOOK「鯖街道」と呼ばれる若狭から京都へと続く山道。担ぎ屋は灯りも持たず一昼夜で駆け抜けたという。著者は現在のルートより短距離で一直線だが、はるかに急峻な古道を探し、テントも燃料も持たず、草鞋を履きその道をたどる。現代の山行はテクノロジーの進化で、自然と闘い、溶け込む、本来の行為から遠くなった。
「鯖街道」と呼ばれる若狭から京都へと続く山道。担ぎ屋は灯りも持たず一昼夜で駆け抜けたという。著者は現在のルートより短距離で一直線だが、はるかに急峻な古道を探し、テントも燃料も持たず、草鞋を履きその道をたどる。現代の山行はテクノロジーの進化で、自然と闘い、溶け込む、本来の行為から遠くなった。
「生命体としてなまなましく生きたい」から、食料も燃料もテントも持たず、ケモノのように一人で奥深い山へと分け入る。南アルプスや日高山脈では岩魚や山菜で食いつなぎ、冬の黒部では豪雪と格闘し、大自然のなかで生き残る手応えをつかんでいく。「自然に対してフェアに」という真摯な登山思想と、ユニークな山行記が躍動する。
広告